退院直後の社会復帰でつまずきやすい場面と対策
退院直後は「症状が落ち着いた=生活が回る」ではありません。
環境刺激・判断負荷・対人ストレスが一気に戻り、再燃・再入院のリスクが高い“移行期”になります。
ここでは、つまずきやすい場面を“あるある順”に並べ、現場で使える対策を具体化します。
🧭 全体方針:退院直後は「回復」ではなく「再適応」を設計する
キーワードは3つです。
負荷は段階(ステップ):増やすより“維持週”を入れる
予定は少なめ固定:変化・選択肢が多いほど崩れやすい
初動対応を決める:崩れサイン→誰が→何をするか
1) つまずきポイント①「初日〜3日目」に燃え尽きる
起きやすいこと
退院の解放感で頑張りすぎる(外出・予定詰め)
支援者・役所・家族対応が集中して疲労が爆増
睡眠が乱れて一気に不調
対策(支援側)
最初の72時間は“予定を半分”にする(面談や手続きは分散)
「退院直後は疲れが遅れて来る」前提で、2日目・3日目に休養日を確保
連絡や調整は支援者がまとめ、本人の“判断”を減らす
2) つまずきポイント② 生活リズムが整わず「通う」が崩れる
起きやすいこと
起床・服薬・食事がズレ、外出できない
遅刻→罪悪感→行けない の連鎖
対策(実務)
「週5で通所」より先に “起きる時間だけ固定”を目標にする
A/B/Cプラン(通常/短時間/休み)を最初から合意
遅刻時のルールを簡素化:「○時までに連絡できたらOK」
3) つまずきポイント③ “できるはず”の期待が上がりすぎる
起きやすいこと
家族・職場・本人が「もう大丈夫」と思いがち
役割が急に戻る、責任が増える
対策
退院直後は “能力”より“回復容量”が小さいと共有
目標を「成果」より “継続(出勤率・相談回数・休憩実行)”に置く
本人に「頑張るより、崩れない作戦」を説明する
4) つまずきポイント④ 刺激(音・人・移動)で消耗する
起きやすいこと
通勤・人混み・騒音で疲れが跳ね上がる
事業所・職場の雑談や会議で脳疲労
対策
通勤は 時間帯・ルート変更、可能なら段階的に
業務は 静かな作業→対人作業の順で負荷を上げる
休憩の取り方(場所・合図・戻り方)をルール化
5) つまずきポイント⑤ “相談できない”まま我慢して崩れる
起きやすいこと
「迷惑をかけたくない」で言えない
何を言えばいいか分からない
相談→評価が下がると誤解
対策(支援者が作る)
相談テンプレを固定:
「ここまでやって、ここで止まりました。確認お願いします」相談の評価を明文化:「早めの相談=良い行動」
本人の“言語化”を待たず、質問で補助(Yes/Noで聞く)
6) つまずきポイント⑥ 服薬・通院と就労の両立が崩れる
起きやすいこと
眠気・集中低下で作業が落ちる
通院がストレスになり欠勤が増える
対策
眠気が強い時間帯は 軽作業・単純作業を配置
通院日は 最初から短時間(Bプラン)にする
医療へ返す情報は「症状」より 生活の事実(睡眠、出勤、疲労)
7) つまずきポイント⑦ 家庭内で衝突が増える(支える側も限界)
起きやすいこと
家族が安心したいあまり声かけが増える
本人は干渉に感じて反発
24時間支援状態で家族が消耗
対策
家庭内ルール:“支援の話をしない時間”を作る
連絡窓口を家族に集中させず、支援者が受ける
家族向けにもA/B/Cプランを共有して「今日はBでOK」を作る
8) つまずきポイント⑧ “失敗”の解釈で折れる
起きやすいこと
1回休む=終わりと思う
遅刻・欠勤で自己否定が強まる
対策
退院直後は “崩れて戻る”が正常と最初に説明
記録は欠勤より「戻れた行動(連絡・再開)」を評価
目標は「ゼロ欠勤」より「連絡率」「復帰率」
✅ 連携の実務:関係者で揃える“最低限の共有項目”
情報共有は“病名”ではなく、支援に必要な機能情報に絞ると安全で効果的です。
崩れサイン(本人・家族が気づく3つ)
禁忌(避けたい負荷、やってはいけないこと)
有効な回復手段(休憩、場所、声かけ)
初動対応(誰が、何を、どこまで)
連絡順(本人→事業所→相談支援→医療 など)
🛟 使える「初動対応」ミニプロトコル(そのまま運用可)
サイン検知:遅刻増、睡眠悪化、表情硬い、相談減る
Bプランへ切替:時間短縮・作業軽減・休憩増
支援者が面談:原因を“疲れ/不安/孤独”で分類(1つだけ)
48時間は増やさない:予定追加禁止、維持週
必要時医療へ連携:生活の事実+副作用体感を共有
📌 まとめ:退院直後のつまずきは「仕組み」で減らせる
退院直後の社会復帰は、本人の気合いに任せるほど崩れます。
うまくいく現場は例外なく、
段階的(A/B/C)
相談の型がある
休憩と負荷調整がルール
初動対応が決まっている
家族が背負いすぎない
この5点を押さえています。
必要なら、あなたの現場(退院元・受け皿・職場/事業所・地域資源)に合わせて
「退院後4週間の支援スケジュール案」(週単位の目標と連携表)も作ります。