支援者が抱え込みすぎないためのチーム分担の作り方
支援が手厚い現場ほど、支援者が抱え込みやすくなります。
本人のために動くほど、連絡・調整・クレーム・緊急対応が特定の人に集中し、燃え尽きが起きる。
これは個人の資質の問題ではなく、チーム設計の問題です。
ここでは「抱え込みを防ぐ分担の作り方」を、すぐ運用できる形でまとめます。
🧭 結論:抱え込みは「窓口の一本化」と「役割の明文化」で減る
支援が回るチームは、例外なくこの2つがあります。
窓口(連絡ルート)が決まっている
誰が何をどこまでやるかが文章で決まっている
逆に、ここが曖昧だと「優しい人」「動ける人」に全部集まります。
😣 抱え込みが起きる典型パターン(まず現状診断)
「困ったらAさん」になっている
夜間・休日も個人LINEに連絡が来る
医療・家族・学校・事業所の調整を一人で持っている
緊急対応の判断基準が共有されていない
連絡の“優先度”が分かれていない(全部が緊急)
2つ以上当てはまれば、設計の見直しどきです。
✅ ステップ1:業務を5カテゴリに分ける(分担の土台)
チーム分担は、まず業務を分けることから始めます。
日常支援(作業・訓練・声かけ・観察)
個別面談(困りごとの整理、計画)
記録・書類(個別支援計画、モニタリング)
外部連携(家族・医療・学校・企業・相談支援)
緊急対応(欠勤連絡、急変、トラブル初動)
「全部できる人」ではなく「担当で回す」が基本です。
✅ ステップ2:RACIで役割を明確化(超おすすめ)
分担で一番効くのは、RACI(4役割)を入れることです。
R(Responsible)実行担当:実際にやる人
A(Accountable)最終責任者:判断する人(1人)
C(Consulted)相談先:相談される人
I(Informed)共有先:情報だけもらう人
これを入れると「誰に聞けばいい」「誰が決める」が一発で揃います。
🧩 すぐ使える:分担表テンプレ(例)
① 欠勤・遅刻連絡
R:当番職員(週替わり)
A:管理者
C:看護/心理/サビ管(必要時)
I:担当支援員、相談支援
② 家族対応(定期連絡)
R:相談支援orサビ管(窓口一本化)
A:管理者
C:担当支援員
I:チーム全体(要点のみ)
③ 医療連携(受診同行・情報共有)
R:相談支援(または看護職)
A:管理者
C:主治医、担当支援員
I:事業所チーム(同意範囲内で要点)
④ トラブル初動(クレーム含む)
R:当番(一次受け)
A:管理者
C:関係者(必要最小限)
I:担当支援員
ポイント:**「当番制」と「一次受け」**を作ると、抱え込みが劇的に減ります。
✅ ステップ3:窓口を一本化しつつ、実務は分散する
よくある誤解がこれです。
窓口一本化=窓口の人が全部やる
違います。
窓口は 交通整理(振り分け) が仕事で、実務は担当へ分散します。
交通整理の型
受ける(一次受け)
優先度を判断(緊急/当日/後日)
担当へ振る(Rへ渡す)
要点を共有(Iへ)
“全部自分で処理”が抱え込みの正体です。
✅ ステップ4:緊急度のルール(トリアージ)を決める
抱え込みは「全部が緊急」に見えると起きます。
だから、緊急度の基準を文章で決めます。
例:3段階ルール
赤(緊急):安全に関わる/自傷他害/急変 → 即時対応・管理者へ
黄(当日):欠勤連絡、強い不安、トラブル → 当番が受けて当日中に整理
緑(後日):相談、要望、共有事項 → 次の面談・会議で扱う
これがあると、個人の夜間対応が減ります。
✅ ステップ5:「会議の型」で情報共有を短く確実に
分担が崩れるのは、情報共有が長い/曖昧で疲れるからです。
共有は短く固定します。
共有テンプレ(60秒で言える)
事実(何があった)
影響(何が困っている)
対応(何をした)
次(誰が何をいつまでに)
“感想”ではなく“運用”で共有すると疲れません。
✅ ステップ6:境界線をチームのルールにする(個人任せにしない)
抱え込みを防ぐには、個人の頑張りに頼らないこと。
ルール例
個人LINEでの連絡は禁止(窓口へ)
夜間休日の対応は管理者当番のみ
相談は“まず当番”へ
週1回、担当者の負荷確認(5分でOK)
「いい人が損をする」構造を消すのが目的です。
🌈 うまくいくチームの共通点
当番制(一次受け)がある
役割が書面化されている(RACI)
緊急度の基準がある
窓口一本化+実務分散
共有が短く、決定が残る
これが揃うと、支援者が守られ、結果的に本人支援の質も上がります。
✅ 明日からできるアクション(関係機関向け)
まず「欠勤連絡」と「家族対応」を当番化する
RACIで1枚の分担表を作る(5業務だけでOK)
緊急度(赤/黄/緑)を文章で決める
共有テンプレを会議に導入する(事実→影響→対応→次)
必要なら、あなたの事業所の体制(人数・職種)に合わせて
分担表(RACI)テンプレと当番運用ルールを“そのまま使える文書”に整えて渡せます。